WEBメディア(ウェブサイトやブログなど)と紙メディア(新聞、小説、ビジネス本など)には大きな違いがあります。本記事では「WEBライティングと紙のライティングの違い」「WEBライティングの基本的な書き方」を解説します。
この記事を読むことで「読者に離脱されず、最後まで読んでもらえる記事」を書くための、基本的な考え方を学ぶことができます。
WEBメディアと紙メディアの特性
WEBメディアと紙メディアは異なる特性を持っています。
本章では、WEBメディアと紙メディアの本質的な違いや特性、共通点、相違点について解説します。
WEB上での文章はSEO(検索エンジン最適化)対策が欠かせません。WEBライティングにおけるSEOの重要性についても解説します。
紙メディアは一方向 / WEBメディアは双方向
WEBメディアと紙メディアには以下の大きな違いがあります。
- 紙メディアは一方向の情報提供が主の静的メディア
- 紙メディアでは、読者は情報を受け取るだけ。直接的な反応や対話はできない
- WEBメディアは双方向メディア、ユーザーとの双方向の関係性が求められる
- WEBメディアでは、ユーザーはコメントやシェアが可能
このように、WEBメディアと紙メディアは、情報伝達の点で大きな違いがあるので、各々の特性を理解した記事執筆がライターには求められます。
WEBメディア | 紙メディア | |
情報のやり取り | 双方向 | 一方向 |
情報の拡散性 | 高い | 低い |
ハイパーリンク | 記事内のリンクから 別の記事に飛べる | 巻末に参考文献などが 紹介されているだけ |
紙メディアの特性
情報伝達以外の紙メディアの特性を2つご紹介します。
① 紙メディアはページ数・掲載スペースが限られてる
紙メディアはページ数や掲載スペースに制約があります。
たとえば、新聞や雑誌ではスペースの制約があるので、短い見出しや要約が多用されます。パンフレットやチラシは限られたスペース内で効果的なメッセージを伝える必要があります。
紙メディアのライターには、限られたスペース内での魅力的な文章作成が求められます。
WEBメディア | 紙メディア | |
ページ数 | 公開前に制限はない 効果後も自由に増やせる | 出版前から制限がある 出版後は増やせない |
スペース | 自由度が高い | 紙面が限られている |
② 紙メディアはじっくり読まれることが多い
紙メディア(特に書籍)は、じっくり読む読者がほとんどといえるでしょう。
みなさんも、何かを集中して学びたいとき、じっくり読みたいときは、お金を払って書籍を購入しておられるのではないでしょうか?
WEBメディア | 紙メディア | |
有料か / 無料か | 無料がほとんど | 有料がほとんど |
読み始めの箇所 | 途中から(途中だけ) 読まれることも多い | 最初のページから |
流し読みか / 熟読か | 流し読み(斜め読み)される | じっくり読んでもらえる |
離脱 | 冒頭だけ読んでつまらないと 思われたら離脱される | 冒頭が期待外れでもWEB メディアより長く読まれる |
WEBメディアの特性
次に、WEBメディアの特性の中で「インタラクティブ性(双方向のやり取り・対話が可能)」と「情報の拡散性」の例について解説します。
インタラクティブ性の例:
・メールやチャットで問合せ、申込み、購入(買い物)ができる
・コメントやレビューを書き込める
僕はAmazonのヘビーユーザー。
すぐ購入できるからね
私、いつもレビュー投稿してます。
他の人のレビュー見るのも楽しい
情報の拡散性の例:
・リンク(URL)を別のWEBページ、メール、SNSでシェアできる
・Twitterの「いいね」「リツイート」に代表されるSNSでの拡散
WEBメディアのライター(WEBライター)は、ユーザーとの双方向のコミュニケーションを考慮して、また、情報拡散を意識して、魅力的なコンテンツを作成することが求められます。
WEBコンテンツにはSEO対策が必要
紙メディアにはSEO対策は不要ですが、WEBメディアではSEO対策が必須です。
ユーザーが検索エンジンにキーワードを入力すると、検索結果一覧には、検索エンジンが「関連性が高い」と判断したコンテンツが上位表示されます。
WEBメディアのライター(WEBライター)は、一般的な文章力だけなく、適切なキーワードを選定したり、タグやリンクなどの内部要素を最適化する「SEOスキル」も求められるのです。
WEBライティングで必要なこと
WEBライティングは、読者ファーストの視点で「読みやすい文章(わかりやすい文章)を書くこと」「SEO対策を実施すること」が必要です。
読者が「短い時間で(瞬時に)」理解できるように書く
WEBメディアの閲覧ユーザーのほとんどは、悩みや課題の解決手段を「今すぐ」「短時間で」知りたい、と思ってアクセスしてきます。
したがって、読者のニーズや関心を重視し、情報をわかりやすく伝える必要があります。
少しでも短い時間で、読者に記事内容を理解してもらえるように執筆しましょう。
わかりやすいタイトルや見出しを作ったり、短い文章で書いたりして、ユーザーが「ほとんど考えくて済む」ようにするのです。
また、ユーザーが、他の関連記事も素早く探し出せるように、ウェブサイトの階層構造を整理することも重要です。
下表をご覧になれば、WEBメディアの読者が短時間で素早く情報収集したい理由を、より理解できると思います。
WEBメディア | 紙メディア | |
情報をいつ知りたいか? | 今すぐ(思い立ったその瞬間) | WEBほど「今すぐ」ではない |
情報収集・理解に割く時間 | 数分間だけ | 数日間かけて収集 |
重要な情報の記載場所 | 記事の冒頭および序盤 | 書籍の後半の場合もある |
【ポイント】
- WEBライティングは読者ファーストの視点が重要
- 短い文章ですばやく情報を伝えることが重要
- タイトル・見出しが紙メディアよりも重要
- 情報が整理されていることが重要
要点を瞬時に理解できないWEBコンテンツは、一瞬でユーザーに離脱されてしまいます。
「瞬時の離脱」を回避するために、WEBライティングでは「可読性」(記事の読みやすさ)に配慮することが重要なのです。
要件① 文章が短いこと / 「斜め読み」でも概要がわかること
WEBライティングでは、一つ一つの文章(一文)の文字数は40~60文字程度が適切と言われています。(長くても80文字以内)
また、一文一義(ワンセンテンス・ワンメッセージ)で書くのがセオリーです。
タイトルや見出しを見るだけで「答えがわかる」「記事全体の内容が大体わかる」ことが極めて重要です。
①一文は40~60文字 ②一文一義 ③タイトル・見出しには常に答えを・・・この3つが紙メディアのライティングと大きく異なる点といえるでしょう。
ネットユーザーの大半は、短時間で手短に情報収集したいのです。長い文章、難解な文章で読者の脳に負担をかけてはいけません。
読者が「ほとんど考えることなく」瞬時に理解できるコンテンツ作成を目指しましょう。
要件② キーワード(SEO)ありきでライティングすること
WEBライティングでは、検索ニーズの強いキーワードをリサーチして、記事内の適切な箇所にキーワードを入れていくことが必須です。
検索エンジンは検索キーワードとの関連性が高い記事を検索上位に表示させます。
適切なキーワードが記事内に入っていれば、検索エンジンで上位表示されてアクセスの増加が期待できます。
どんなに内容が有益でも、検索エンジンで上位表示されなければ、記事の存在をユーザー(読者)には知ってもらうことはできません。
検索エンジンからの記事流入を増やすためには「キーワードありきのライティング」が必須です。
WEBライティングの将来展望と学び方
この章では、デジタル化の進歩に伴いWEBライティングの将来展望がどのように変化しているのか、またWEBライティングと紙のライティングが融合し相互に影響を与える関係について探っていきます。
また、WEBライターに求められるスキルと学び方についても解説します。
WEBライティングの未来を見据えつつ、自身のスキルアップにつなげるための情報をご紹介します。
デジタル化の進歩とWEBライティングの将来展望
インターネットの規模はますます拡大しており、WEBメディアの需要は増え続けています。
動画やSNSなどの新たな形のコンテンツの登場・拡大により、多様な情報発信が求められています。それにともないWEBライティングの重要性も、ますます高まっています。
インタラクティブな(双方向の)コンテンツの活用やVR技術の導入によって、読者とのより深い関与を促すことが可能になります。AI技術の進歩により、自動生成コンテンツやパーソナライズされた情報提供が一層発展する可能性があります。
WEBライティングはますます多様化し、進化していくことが予想されます。最新の技術やトレンドに対応しつつ、読者とのより強い関係構築に取り組みましょう。
WEBライティングと紙のライティングの融合
WEBライティングと紙のライティングは相互に影響を与えながら、融合していくステージにあります。
紙のライティングの手法がWEBライティングに取り入れられたり、逆に、WEBライティングの手法が紙のライティングにも影響を与えています。
紙メディアのライターからWEBライターに転身する人も増えており、紙メディアのエッセンスを活かしたWEBコンテンツも増えています。
紙メディアでも、WEBライティングのように「コンパクトでわかりやすい文章」が求められるようになってきています。
政府(文化庁)も、WEB上での配信・拡散を前提として「わかりやすいタイトル・見出し」「わかりやすい文体」で紙の文書も作成する方針を打ち出しています。
(文化庁ウェブサイトより引用、PDF37枚目「標題、見出しの付け方」、38枚目「文の書き方」)
このように、WEBライティングと紙のライティングの融合は、今後もますます加速していくことが予想されます。
WEBライターに求められるスキルと学習方法
WEB環境やデジタルツールの進化に伴い、WEBライターは新たなスキルや知識が必要とされています。
「コンテンツ制作のスキル」だけでなく「トレンドに対する理解」「テクニカルな知識」「常に学び続ける姿勢」が求められます。
読者のニーズやトレンドの変化に対応し、競争力を維持、向上させるために「学習」は欠かせません。最新の情報を追いながら学び続けることが重要です。
SEO対策やデータ分析の基礎知識も身につけ、効果測定~改善に活かしていきましょう。
デジタル環境の変化に敏感に対応し、学習を継続し、将来のニーズにも対応していくことが重要です。
【この記事全体のまとめ】
WEBライティングと紙のライティングの違いや特性について理解し、それぞれのメディアにおけるベストプラクティスを把握することが重要です。
WEBライティングでは、可読性(わかりやすさ・読みやすさや)の向上、短い文章の活用、そしてSEO効果を高めるキーワードの選定が重要です。
デジタル化の進歩に伴い、WEBライティングはますます重要性を増し、新たなコンテンツ形式や技術の発展が期待されます。
WEBライターにはコンテンツ制作のスキルに加え、テクニカルな知識と常に学び続ける姿勢が求められます。
読者のニーズに寄り添い、学びを継続し、魅力的なコンテンツを提供できるWEBライターを目指しましょう。