個人ブログや企業のウェブサイトの文章は「WEBライティング」という手法で執筆します。
WEBライティングでは「主語と述語」が重要で、以下3つのセオリーがあります。
■ 主語と述語のセオリー
1.主語と述語は近づける
2.主語と述語のねじれを直す
3.主語を省略しない / 述語を省略しない
「わかりやすい文章」は主語と述語が明確です。
「明確」とは「どれが主語で、どれが述語か?」がすぐわかる、ということです。
一方で「わかりにくい文章」は以下の問題があるケースが大半です。
■ 問題点
1.主語と述語が離れすぎている
2.主語と述語が対応していない(ねじれが発生している)
3.主語が抜け落ちている / 述語が抜け落ちている
本記事では「主語と述語に関するWEBライティングの基本原則」について、文例を交えて解説します。
本記事以外のWEBライティングのセオリーはこちらの記事をご覧ください。
主語と述語は近くに置くのがセオリー
WEBライティングでは「主語と述語を近づける」のがセオリーです。読者は主語を見つけると「この主語に対応する述語はどれだろう?」と思って述語を探します。
述語がなかなか見つからないと、読者は大きなストレスを感じます。そして、そのストレスが重なると読者は記事を読むのをやめて離脱してしまうのです。
主語と述語が離れすぎていて「述語がなかなか見つからない」文例をご覧ください。
この文の主語は「彼女は」、述語は「希望している」です。
読者は主語を発見したら「述語がどこにあるか?」を無意識に探しますが、この悪文では、述語が登場するのは33文字も先です。
文の文字数が多いと情報量も多くなりますが、この33文字には3つの情報が入っています。
・分野の情報) 日本のAI研究の第一人者
・人名の情報) 松尾豊
・大学名) 東京大学
「情報量」は「短期記憶すべき量」と言い換えられますね。
「松尾豊」という名前を初めて知った読者は、その人名を「短期記憶」しなければなりません。たとえ本人が覚えようとしなくても、脳は勝手に覚えようとします。
たとえ本人は無意識でも、脳は働いているので、読者は読むことに疲れてしまうのです。
読者が「読み疲れ」しないように、まずは主語と述語を瞬時に読者に把握してもらいましょう。そのために主語と述語を近づけるのです。
主語と述語を近づけた以下の良文をご覧ください。
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主語と述語が近づいてわかりやすくなりました。2つの文に分けたことも大きなポイントです。
さらに、松尾教授のことを初めて知る読者にとっても、わかりやすい文章にブラッシュアップしてみました。
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「33文字でも、情報が3つでも、私は別に気にならない」という方もおられるでしょう。
しかしその感覚はWEBライティングを学んでいない方の感覚です。
読解力が高い人も、その記事の分野に詳しい人も、文字数が多い文章は嫌いです。
多忙な中、Google検索して情報に辿り着いた読者は「少しでもわかりやすい文章」を望んでいます。ほぼ何も考えることなく、一文一文の内容を理解したいものなのです。
もう1例、かなり長い文例を使って解説します。
「WEBライティングは初心者だけど読書は好き!」という方は、このような文章を書いてしまうことがとても多いです・・
この文は主語と述語の間に94文字の情報が入っています。
いくらなんでも「主語と述語が離れすぎ」なので改良してみました。
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主語である「ザ・リッツ・カールトンが」と、述語である「1位となった」を近づけたので、かなりわかりやすい文章になりました。(「第1位」の「第」も削って「1位」に修正した)
さらに改良してみましょう。(主語は赤字、述語は青字)
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この「もっと改良した文例」は「一文一義(一つの文に一つのことだけ書く)」のセオリーにしたがった文章にしています。改良前は「一文多義(一つの文に2つ以上のことを書く)」の文章です。
このように、わかりやすい文章の大きな特徴は「主語と述語が近いこと(ベストは隣り合わせ)」です。
そして「主語と述語を近くに置くため / 隣り合わせにするため」には「一文一義で文字数の少ない文」を書くことがWEBライティングのセオリーです。
主語と述語のねじれを直そう
「文章のねじれ」とは主語と述語が食い違っていることです。
文例で解説します。
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この文章は主語と述語がねじれています。主語は「私の目標は」ですが、述語が「入りたいです」となってしまっています。
主語と述語を続けてみると・・
「私の目標は入りたいです」となります。
日本語としておかしいですよね。
以下がねじれのない正しい文章です。
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もう1つ文例を紹介しましょう。
主語と述語のねじれを直すだけでなく「文章全体をさらにわかりやすく修正していく過程」も解説します。
この文章も主語と述語がねじれています。
主語は「買い揃えたいのは」で、述語が「検討するべきだ」となっています。
主語と述語を続けてみると・・
「買い揃えたいのは検討するべきだ」となります。
日本語としておかしいですよね。
以下が正しい文章です。
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この修正例①は、文章(国語)としては正しいのですが、あまりスマートな文章とはいえません。
その理由は「まず買い揃えることを検討すべき商品は」という文言がダラダラと長いからです。
ダラダラしてないスマートでわかりやすい文章に改良してみましょう。
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この修正例②では「AとBを買い揃えること」という一節を「AとBを購入」に直しました。
「購入を検討すべきです」の「検討」という文言を削除して「購入すべきです」に直すと、以下のようにもっとスマートになります。
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「購入すべきです」という文章を読んでも、ほとんどの人はすぐには購入せず、しっかり検討してから購入するはずなので「検討」という文言は不要です。
「購入すべきです」という表現が強すぎると思うなら、以下のような柔らかい表現に修正しましょう。
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主語と述語がねじれた文章は、主語と述語を直しただけでは、まだ文章全体がおかしい場合がほとんどです。
文章は1箇所だけ直せば、意味が通ってわかりやすくなるケースもありますが、1箇所変更しただけなのに、その前後や文章全体も変更・修正が必要になるケースもあります。
1つの文(一文)が長ければ長いほど(文字数が多ければ多いほど)、ねじれがあった際の修正には労力がかかります。
推敲の際にねじれの有無を確認することは必須です。
しかし推敲は「後工程」です。後工程で多くの時間を奪われないために、最初から「ねじれのない」文章を書くことが極めて重要です。
ねじれのない文章を書くコツは①最初から短い文章を書く②最初から主語と述語を近くに置く、の2つです。
WEBライティングでは主語の省略はデメリットだらけ
日本語は主語がなくても意味が通る場合がある
①主語と述語は近づける②主語と述語のねじれを直す、この2つはWEBライティングのセオリーですが、そもそも必要な主語を省略してしまう初心者ライターさんが多いです。
初心者ライターが主語を省略してしまう(または書き忘れる)理由は、日本語は主語なくても意味がわかる(意味が通る)場合もあるからです。
たとえば、駅のホームで友人と電車の到着を待っていて、電車が見えてきたら「来たよ!」とか「来た!」言う人がほとんどですよね。「電車が来たよ!」とか「電車来た!」と「電車」という主語を付ける人は稀でしょう。
小説でも主語はよく省かれます。もっとも有名なのは夏目漱石の『吾輩は猫である』の冒頭でしょう。
「名前はまだない。」という文には主語がありません。でも日本人なら、誰が読んでも主語は猫だとわかるでしょう。
このように日本語は主語を省略しても問題がない場合もある言語なのです。
主語の省略はデメリットが多い
WEBライティングでは「どうしても!」という理由がない限り主語を省略してはいけません。
WEBライティングでもっとも大切なのは「文意が瞬時にわかること」です。
主語が省かれていたら、読者は主語を推測するしかありません。推測は多少なりとも「脳が疲れる作業」です。
「文意が瞬時にわかる」とは「何も考えなくてもわかる」ということです。「何も考えなくてもわかる」とは「推測しなくてもわかる / 読解しなくてもわかる」ということです。
主語が省かれていると以下のデメリットがあります。
1.読者が文意を瞬時に理解できない(読者が文意を全く理解できない場合もある)
2.「この文章の主語は何だろう?」と読者が考えなければならない(度重なると「読み疲れ」して離脱に繋がる)
3.Googleは書かれていない主語は拾えない(その主語がキーワードだったらSEO的に「損」です)
4.Google翻訳したら、まったく別の意味の英文になる場合がある
主語がない文章は読者の脳が疲れるだけではありません。
書かれていない言葉はGoogleは拾うことはできません。(認識できない)
主語がない文は、ほとんどの日本人は理解できても、文法的には誤りであるケースもあります。そのような文章はGoogleは「文章としての意味」を理解してくれません。
SEO面で大損してしまうのです。
主語がない文例|読者は主語(商品名)を忘れる
その文の主語が「あなたがその記事で紹介したい商品名」である場合は、絶対に主語(=商品名)を省いてはいけません。
以下の文例は電子書籍リーダー『kindleペーパーホワイト』の紹介記事の中で、kindleペーパーホワイトの3つの特徴を紹介した部分です。
主語がちゃんと書かれた例と、主語が省かれた例をお見せします。
特徴①②③の3文とも「Kindle Paperwhiteは」という主語がちゃんと書かれており、わかりやすいと感じるはずです。
「Kindle Paperwhiteは」「Kindle Paperwhiteは」「Kindle Paperwhiteは」と「しつこいな・・」と感じた方も多いと思いますが「わかりにくい」と感じたでしょうか?
「わかりにくさは全くない、とてもわかりやすい、でもしつこいのでは?」と感じた方がほとんどのはずです。
断言しますが、ほとんどの読者は「しつこさ」は全く感じません。そして「わかりやすい記事だ!」という好印象しか持ちません。
その理由は読者が求めているのは「スマートさではなく”わかりやすさ”」だからです。
3つとも主語を省いた文例をご覧ください。
唐突でぶっきらぼうに感じませんか?少なくとも丁寧さは感じないはずです。
そして重要なことですが、この記事が「Kindle Paperwhite」と「Kindle Oasis」と「Kindle Scribe」の比較記事だった場合を想像してみてください。
3つの特徴を紹介する見出しに「Kindle Paperwhiteの3つの特徴」と記載されていたとしても、特徴③あたりで「あれ?これ、Kindle Oasisの特徴だったかな?」とわからなくなってしまう読者が何割かいるはずです。
とはいえ、最後にしつこさをなくした文例を載せておきます。
3つとも冒頭が「Kindle Paperwhiteは」という主語で始めると読者がしつこさを感じるので変化をつけました。
重要なことは、途中の文には「Kindle Paperwhiteは」という主語を入れていることです。
繰り返しますが「しつこい(くどい)という短所」より「わかりやすいという長所」のほうがWEBライティングでは優先です。
主語が商品名の場合は何度も書く(数回では読者の記憶に残らない)
商品やサービスを紹介する記事の場合、誰もが知っているメジャーな商品なら商品名を覚えてもらう必要はありません。
しかし、あなたの会社の新製品を紹介する記事や、最近リリースされたばかりサービスのアフィリエイト記事を執筆する場合は、商品名やサービス名を覚えてもらう必要があります。
読者に名前を覚えてもらう方法はひとつしかありません。それは記事内に何回も商品名やサービス名を登場させることです。
タイトルやリード文だけなく、記事内のいたるところに何回も何十回も名前を登場させましょう。
ただし明らかに不自然な文章を書いてはいけません。不自然に商品名を記事内に詰め込むと、Googleにスパム行為だとみなされてしまいます。
商品名が主語になる文で、その主語(商品名)を省いてしまったらどうなるか?
読者は文意を理解できたとしても、商品名は覚えてくれません。(書かれていないだから当たり前)
■ 私の会社員時代の経験
私はメーカーで長年、新製品の企画を担当していました。新製品のウェブサイトの記事も私が原案を執筆していました。
あるとき、私が記事原案を広報部に提出したところ、広報部のライターが何ヶ所も主語を削除して記事を公開しました。
広報部長に苦情を入れたところ・・
「あなたの原文は『○○が、○○が』と、くどいんですよ。〇〇(新製品の名称)の記事なんだから、主語は〇〇に決まってるじゃないですか?だから文章としてスマートにするために、主語を半分ぐらい削除したんですよ」
と返答されました。
広報部のライターも部長も、WEBライティングやSEOを体系的に学んでいません。それどころか基礎的な書籍さえ読んだことがありません。
まったく勉強せず、知識がない人達は、こんなにもレベルが低いのか・・、と痛感しました。
どんなに記憶力がいい人でも、新製品の名前を2~3回聴いただけでは、絶対に覚えることはできない。ライターも広報部長も、私から10回、20回、聴いたから商品名を覚えられたにすぎません。
しかし当人たちは「既に『自分たちは』わかり切っている名前が何度も登場しているのでくどい」と感じたのです。
そして「商品名は記事タイトルに1回だけ書いてあればいい」「商品の画像の下にちょこっと記載しておけばいい」「記事内に何回も商品名を登場させるとしつこい」と思ってしまうのです。
その結果、主語(=製品名)が読者の記憶に残ることはありません・・
WEBライティングも、SEOも、きちんと勉強せず・・いえ、そんなスキルの有無よりも、読者の気持ちになろうとしない者は、このような愚行を「悪気なく」犯してしまうのです。
述語を書き忘れない
主語は述語と一体となって初めて文章になります。主語があっても述語がなければ文章として意味が通りません。
仮に述語を推測出来たとしても、読者の脳内には違和感が残ります。
述語が抜けた文例を紹介します。
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この文には「地方から」を受ける述語がないので文章として成立していません。
なんとなく、以下の文意だとは「想像」できます。
・都会には、地方から出てきた人も多い。
・都会には、勉強や仕事のために、地方から出てきた人も多い。
・地方から出てきた人の多くは一人暮らししている。
文例は「出てきた」が抜けているのです。
以下は「出てきて、」と加筆した文例です。
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「出てきて」と加筆しただけでは不十分です。以下のように語順を入れ替えたほうが、明らかにわかりやすい文章になります。
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「勉強や仕事のために」は目的(理由)です。「地方から出てきて」はプロセス(途中経過)です。そして「一人暮らししている」が結果です。
つまり、以下の流れの文章に直したということです。
情報が1箇所ごとに固まって整理されている・・・、それが「わかりやすい文章」の特徴です。
まとめ
最後にWEBライティングにおける主語と述語のセオリーについて以下にまとめておきます。
文章をわかりやすく書くのは読者への思いやりです。
常に読者のことを第一に考えて記事を執筆しましょう。(読者ファースト)
今回の記事は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。