本記事はブログ初心者や初心者WEBライターの方向けの解説記事です。
みなさんは「体言止めのメリット(効果)とデメリット」を即答できますか?
また、なぜ効果があるのか?なぜダメなのか?という「理由」を即答できますか?
3つ以上即答できる方はライティングスキルがかなり高いと言えます。
本記事を読み始める前に、ご自身が考える「体言止めのメリットとデメリット」を書き出してみましょう。
そして記事を読んだあとで「答え合わせ」すると知識がしっかり定着すると思います。
WEBライティングにはさまざまなセオリーがあり、それぞれのセオリーには「明確な理由」があります。
体言止めにも「こう使うべきだ / こう使うべきではない」というセオリーと、その明確な理由が存在します。
たとえば以下のような理由で体言止めを使ってはいけません。
・読者に「カッコいい文章だな」と思われたい
・読者に「賢い人だな」と思われたい
・読者に威厳を与えたい
本記事では、体言止めのメリット(効果)とデメリットを6つずつ紹介します。
本記事を読むことで「体言止めを正しく使うための基礎知識」を得られます。
体言止めを効果的に使って「離脱されず読み進めてもらえる記事」を書けるようになりましょう。
体言止め以外のWEBライティングのセオリーはこちらの記事をご覧ください。
体言止めとは文末を名詞で終わらせるテクニック
まずは「体言止め」の定義をおさらいしましょう。
ライティングの有名な書籍『新しい文章力の教室』(インプレス社刊)では以下のように解説されています。
体言止めとは、文末を名詞や代名詞(=体言)で終わらせるテクニックです。文字数が減ってタイトになる上、文末にバリエーションを与えてくれ、リズムを整える効能もあります。
ちなみに、この文章を体言止めすると以下の文章になります。
体言止めとは、文末を名詞や代名詞(=体言)で終わらせるテクニック。文字数が減ってタイトになる上、文末にバリエーションを与えてくれ、リズムを整える効能も。
「テクニック。」は、名詞(体言)で終わっているので体言止めですね。
「効能も。」の「も」は助詞(副助詞)なので、「効能も。」は「助詞止め?」かもしれませんが、筆者はこれも「体言止め」とほぼ同じと考えます。
以上が体言止めの定義です。
次の章では体言止めの6つの「メリット」について解説します。
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体言止めの6つのメリット(効果)
体言止めのメリット(効果)は以下の6つです。
1)その体言(名詞)が強調される(読者の記憶に残りやすくなる)
2)文章にリズム感が生まれる(単調なリズムに変化をつけられる)
3)文章に余韻が生まれる(詩的、情緒的な印象になる)
4)読者の想像を膨らますことができる
5)同じ文末表現の連続を回避できる
6)文字数が少なくなり冗長性を改善できる
この6つは「メリット(長所)」というよりも、体言止めを使う「目的・理由」ですね。
つまり「目的・理由がないのに、むやみに体言止めを使うべきではない」ということです。
これら6つのメリットについては、後ほど深掘りしていきます。
体言止めの6つのデメリット
体言止めの「デメリット(短所・欠点)」「体言止めがダメな理由」は以下の6つです。
1)雑で投げやりな印象を与える(丁寧さに欠ける)
2)冷たい印象を与える
3)ナルシストだと思われる(格好つけていると思われる)
4)偉そうで、失礼で、上から目線の印象を与える
5)説明不足になる場合がある
6)【SEO面】Googleが文章の意味を理解できない場合がある
体言止めを多用すると「失礼だ / 高飛車だ」と思われることが多いので、特に営業・販売目的のアフィリエイト記事では注意が必要です。
また、体言止めは説明を省略した表現です。
特に多くの人がまだ知らない新商品の紹介記事では、補足説明の「抜け漏れ」がないように注意してください。
6つ目のSEO面については、体言止めした日本語の文章をGoogle翻訳してみると、Googleが正しく理解できていない場合があります。
これら6つのデメリットは後ほど深掘りします。
体言止めの6つのメリットを深堀り(注意点も解説)
筆者は体言止めをほとんど使用しません。
理由はメリットだと言われている点にもデメリットが潜んでいるからです。
本章では体言止めの「メリット」と「注意点(あなたが考えるべきこと)」について解説します。
【深堀り】メリット① その体言(名詞)が強調される
その体言(商品名、商品の最大の特長)を強調したいときは、体言止めを使うのは有効です。
たとえば、Apple社から新型iPhoneが発表され「バッテリー寿命が延びたこと」が最大の進化(=Apple社が強調したいこと)だったとします。
その場合、以下のように体言止めすることで「バッテリー寿命が延びたこと」が強調され、読者への訴求力が高まります。
↓↓↓
しかし、以下のように「iPhone〇〇」を体言止めしても、ほとんど意味がありません。
↓↓↓
意味がない理由は「iPhone〇〇という商品名は既に誰もが知っているから」「読者が新たに知りたいことは商品名ではないから」です。
Appleの新作発表会を観る人たちが知りたいのは「商品名」ではなく「商品の特長」です。
このように、強調すべきことを体言止めにすべきで「強調しなくてもよいことは体言止めにしない」のがセオリーです。
また、強調する必要がない内容を体言止めにすると、読者に「唐突感」「違和感」を与えてしまいます。
重要ではない事柄を体言止めして「えっ、コレって重要なの?」と、読者に余計なことを考えさせてはいけません。
【深掘り】メリット② 文章にリズム感が生まれる
体言止めには「文章にリズム感や変化が生まれるので、読者が飽きることなく文章を読み進めてくれる」という効果があります。
しかし「リズム感を与える必要がない場合」「リズムを変える必要がない場合」は、体言止めは不要です。
むしろ体言止めを使ってはいけません。
「出だしは素敵なメロディーだったのに、おかしな転調のせいで、曲全体が台無しになってる」楽曲と同じです。
リズム感や変化は常に正義ではないのです。
特に情報収集が目的の読者にはリズム感や変化など不要です。
読者は、淡々と記事を読み進め、淡々と情報収集したいだけなのです。
【深掘り】メリット③ 文章に余韻が生まれる
iPhoneやMacBookなどのアップル製品、スタバなど、洗練された商品やおしゃれな空間を紹介する記事では、詩的、情緒的な表現が効果的な場合もあります。
しかし、不動産の紹介、クレジットカードの選び方、ITツールの操作手順などの「情報記事」には余韻は不要です。「余韻など邪魔だ」とさえ思っている読者も多いはずです。
【深掘り】メリット④ 読者の想像を膨らますことができる
体言止めは何かが省略されているため、読者は想像で文意を補うことになります。
つまり、体言止めには「読者の想像を膨らませる」効果があります。
しかし「想像させる」ことは「読者に考えさせる(労力を払わせる)」ことであるとも言えます。
WEBの読者のほとんどは「考えたくない / 頭を使いたくない」と思っています。
1秒でも早く「答え」を知りたいのです。
読者に「何ひとつ」想像させない記事こそが、多忙な読者の「時間を奪わない」良質な記事と言えます。
特に商品記事の場合、その商品を使った読者の未来を想像させてはいけません。
「えっ!読者に未来を想像させるのは大事なことでは?」と思う方もおられるでしょう。
その答えは以下になります。
× 未来を想像させる( = 未来を具体的に提示しない)
〇 「この商品を使えば、あなたの未来はこのようになります」と具体的に提示する
【深掘り】メリット⑤ 同じ文末表現の連続を回避できる
・・ました。・・ました。・・ました。
このように「文末で同じ表現が連続するのはよくない」と教わったことがあると思います。
同じ文末表現の繰り返しを避けるには体言止めは有効なテクニックの一つです。
同じ文末表現が3回続く例文をご覧ください。
↓↓↓
上記の例文に体言止めを交えると、以下のように同じ文末表現の連続を回避できます。
↓↓↓
【深掘り】メリット⑥ 文字数が少なくなり冗長性を改善できる場合がある
体言止めを使うと一文の文字数を減らすことができます。文字数を減らす手段として体言止めは有効です。
しかし、体言止めは「説明を省いた表現」「省略した表現」です。
体言止めを使うと、その一文の前後に補足説明の文章が「余計に」必要になる場合もあります。
「余計な補足の文章」を入れると「その段落」の文字数は増えてしまいます。
以下の例文をご覧ください。
例文Aは「現在の私が男である」ことがわかります。
「です」という「現在形」の述語を付けて文章が結ばれているからです。
いっぽう、Bの文章では「今、男なのか?」は明確にはわかりません。
たとえば「私は男。2020年までは男だった。」と加筆しなければ、読者に対しては説明不足ということになります。
以上で、体言止めの6つの「メリット」の解説を終わります。
次章では、体言止めの6つの「デメリット」を深掘りします。
体言止めの6つのデメリットを深堀り(注意点など)
本章では体言止めのデメリットをより詳しく解説します。
【補足】デメリット① 雑で投げやりな印象を与える
「雑で投げやり」と意味が似ている表現を以下にまとめます。
・ぶっきらぼう
・不親切
・紋切型
・乱暴
体言止めは、読者にこのようなマイナスの印象を与えてしまうおそれがあります。
【補足】デメリット② 冷たい印象を与える
「冷たい印象」と意味が似ている表現を以下にまとめます。
・冷徹
・機械的
・人間味が感じられない
・優しさが感じられない
・距離が遠く感じる(親近感が湧かない)
情報を提供するWEBコンテンツでも「人間味」「優しさ」は大切です。
体言止めされた文に親近感を覚える人はいません。
記事の一部に体言止めを使用したとしても、記事を読み返して、記事全体が親近感を覚えさせているかどうかをチェックしましょう。
【補足】デメリット③ ナルシストだと思われる
「ナルシスト」に会ったときに多くの人が感じることを以下にまとめます。
・気取っていると感じる
・実は中身は薄いのでは?と思う
・この人、実績あるの?と疑われる
・他人より自分が優先の人だと感じる
■ 筆者の経験
「ここは体言止めにしたほうが格好いいと思います!」
「実は私は格好つけたいので体言止めを使ってるんです・・」
これが筆者が添削してきたライターさん達、ほぼ全員の体言止めを使う理由です。
とても悲しいことですね・・ライターが格好つけたいこと、ライターが格好いいと思われることは、読者の幸福には一切関係がないのですから・・
【補足】デメリット④ 偉そうで、失礼で、上から目線の印象を与える
体言止めは、一歩間違えると「偉そうな / 高慢な / 高飛車な / 上から目線の」失礼な印象を読者に与えてしまいます。プライドが高い読者には一瞬で嫌われてしまいます。
大企業であれ、中小企業であれ、役員や購買部門の方々はプライドが高いもの。富裕層も同じです。
自信満々の高飛車な営業マンから商品を買う「変わり者」もいますが、それはレアケース。レアケースにこだわるとビジネスは必ず失敗します。
■ 筆者の経験
筆者は以前、体言止めを多用していました。しかし今は富裕層や大企業向けの商品紹介記事では、体言止めは1回も使用しません。ある日、学生時代からの友人でもあるクライアント企業の購買担当者が、こう助言してくれたからです。
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「お前の記事は体言止めが多いけどさ・・ウチの連中全員、お前のこと嫌ってるよ。高飛車な奴だと思ってる・・。体言止めはやめたほうがいい」
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実は彼は、筆者より数段上のライティングスキルを持つ副業ライターなのです。
【補足】デメリット⑤ 説明不足になる場合がある
単語で文末を終える体言止めは、説明不足になりがちです。
単語だけでは読者が意味がわからないケースもあるでしょう。
購買意欲が高い読者ほど(単語だけなく)詳しい説明を望んでいます。
詳しい説明がない記事を読者が信じることはありません。
文章で格好つけることよりも「購入していただくこと / 問合せをいただけること」を第一に考えましょう。
【補足】デメリット⑥ SEO面)Googleが文意を理解できない場合がある
体言止めはSEO面でマイナスになる場合があります。つまり、検索順位が上がらない場合があります。
その理由は以下の3つ。
1)Googleはガイジン(外人)だから
2)英語には体言止めがないから(体言止めは日本語だけ)
3)Googleは「意味がわからない記事」を高く評価しないから
英語には体言止めはありません。
したがって、Googleは体言止めされた文章を理解できない場合があります。
以下の例文をご覧ください。
以下のとおりGoogle翻訳の結果はAもBも同じです。
このように、主語(A氏)と述語(解説した)と目的語(活用術について、活用術を)のかんたんな文章なら、Googleは理解できます。
筆者は「体言止め否定派」ですが、平易な文章(フレーズ)のタイトルや見出し(h1、h2)では体言止めを使用しています。
以下の例をご覧ください。
「解説します」の「します」を削って「解説」と体言止めしても、Googleも読者もすんなりと理解できます。
「経験、専門性、権威性、信頼」です、というふうに「です」を付けずに、体言止めしても、Googleも読者もすんなりと理解できます。
しかし、体言止めすると、Googleが文意を理解できなくなる場合もあります。
以下の例文をご覧ください。
例文A)多くの利用者が鮮明な映像の美しさに感動するだろう
例文B)鮮明な映像。その美しさに多くの利用者が感動するだろう
Googleは、多くの人が「美しさに感動すること」は理解しています。
しかし、「その美しさ(its beauty)」の「その(its)」が「“ 鮮明な映像 ” の」であることをGoogleは理解できていません。
Googleは(ガイジンは)「支離滅裂な文章だ」と判断しています。
例文Bの体言止めした文章のほうが、ほとんどの日本人には強く伝わるでしょう。(例文Aよりも訴求力がある)
しかしGoogleは「支離滅裂な例文Bのような文章」が入っている記事を、検索結果一覧の上位に表示することはありません。
日本語だと訴求力が強い記事でも、上位表示されなければ、多くに人には読んでもらえません。
以上で、体言止めの6つの「デメリット」の解説を終わります。
本記事の解説は以上ですが、次の最終章に「筆者の考え」を掲載しておきます。
筆者の考え)好きな表現より「わかりやすさ」が優先
アメブロの日記などは好きな表現で書けばいいし、むしろそのほうが「あなたらしい文章・文体」のファンが増えていくでしょう。
しかし、情報収集のためにGoogle検索する読者は「あなたらしい文章・文体」には興味はありません。
また、情報記事を読む読者は「美しい文章」や「流暢な文章」は望んでいません。
読者は「わかりやすい文章」「すぐ理解できる文章」を望んでいます。
「好きだから」という理由だけで体言止めを使用してはいけません。
「売るための文章」は好き嫌いや感情を取り払って書きましょう。
自分が好きな表現ではなく、読者にとって「わかりやすい」「理解しやすい」表現を使いましょう。
「わかりやすい文章」「すぐ理解できる文章」を書けば必ずファンは増えます。
わかりやすさを重んじているGoogleも、きっとあなたのファンになってくれるでしょう。
本記事の内容は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
JunTakeda(じゅんたけ)
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