インハウスSEOとは、SEO対策を外注せず、全て自社内で実施することです。インハウスSEOを導入することを「SEOを内製化する」と言います。
逆に、SEO対策を全て外注することをアウトソーシングSEOと言います。
そして、一部を内製化し、一部を外注することをセミインハウスSEOと言います。
本記事では、以下のような不安や疑問をお持ちの企業の方向けに、インハウスSEOの「メリット・デメリット」「導入の進め方」などを、わかりやすく解説します。
・SEOの外注コストは高そう・・
・当社でもインハウスSEOは実現できるか?
・SEOスキルの習得に必要な期間を知りたい
・インハウスSEOをスムーズに導入し、成果を出す方法を知りたい
・インハウス、アウトソーシング、セミインハウスのどれを選択すべきか?判断したい
インハウスSEOの効果が期待できる企業・期待できない企業
インハウスSEOの導入効果が出せるかどうかは企業の状況によって変わります。
本章では、インハウスSEOが向いている企業と向いていない企業について解説します。
インハウスSEOの効果が期待できる企業
以下の3点が当てはまる企業は、インハウスSEOの導入効果を期待できます。
インハウスSEOの導入効果が期待できる企業
① SEOの重要性が社内で理解されている
② 専任のSEO担当者を置ける
③ 教育に時間と予算を割ける
以下に一つずつ解説します。
① 社内でSEOの重要性が理解される
インハウスSEOを導入・運用するには、経営陣や管理職がSEOの重要性を理解していることが大前提です。
理解させることができる場合も問題ありません。
② 専任のSEO担当者を置ける
SEO対策をメイン業務とする専任者を配置できる企業は、インハウスSEOの継続運用が可能です。
SEO対策の業務が8割程度、SEO以外の業務が2割程度でも問題ありません。
③ 教育に時間と予算を割ける
担当者の教育に時間と予算を割ける企業はインハウスSEOの効果を期待できます。そして、担当者だけでなく、経営陣や管理職もSEOの基礎知識の学習は必須です。
SEOの基礎知識がない経営陣は、SEO対策の効果を正しく評価できない・・、つまり、正しい経営判断ができません。
また、SEOの基礎知識がない管理職は、SEO担当者の成果やプロセスを正しく評価できない・・、つまり、部下を公正に人事評価できません。
担当者だけなく、経営陣や管理職も、SEOをしっかり学習する企業ならば、インハウスSEOの導入効果を期待できます。
インハウスSEOの効果が期待できない企業
以下の3点が当てはまる企業は、インハウスSEOの導入効果を期待できません。
インハウスSEOの導入効果が期待できない企業
① 経営陣や管理職のITリテラシーが低い
② 経営陣がSEO対策の重要性を理解していない
③ SEO対策の専任者及び管理者を置きたくない/置く余裕がない
逆に上記3点をクリアすれば、インハウスSEOは導入しやすくなり、導入後の効果も期待できます。以下に一つずつ解説します。
① 経営陣や管理職のITリテラシーが低い
SEO対策はデジタルマーケティング施策、つまり「IT施策」です。ITリテラシーが低い経営者や管理職は、そのIT施策が正しいか、効果的かを判断できません。その結果、SEO担当者の施策が正しかったとしても、承認せず、実行させないといったことが頻繁に起きてしまいます。
② 経営陣がSEO対策の重要性を理解していない
経営陣がSEOの重要性を認識していない企業は、インハウスSEOの導入は困難です。重要性を感じていないことに予算を回す経営者はいないでしょう。仮にインハウスSEOを導入できたとしても、SEO担当者に、営業などのSEO対策以外の業務を優先させるようになるはずです。
③ SEO対策の専任者及び責任者を置けない
SEO対策の専任担当者及び責任者を置かない場合は、インハウスSEOの導入効果は得られません。以下に担当者と責任者に分けて理由を解説します。
SEO対策の専任担当者
SEO対策は多岐に渡り、作業量も膨大なので、他の業務と兼務させる等、「ついで」「片手間」での継続運用は困難です。
インハウスSEOを導入する場合は、社内にSEO対策専任の担当者を置く必要があります。
やむを得ず他の業務と兼務させる場合も、他の業務のほうが「ついで」であるという認識を持っておかなければなりません。
SEO対策の責任者(管理者・評価者)
担当者以外に責任者を置かなければインハウスSEOは機能しません。
特に中小企業では、一人の担当者に大きな業務負担がかかり、成果が出ないときは担当者だけが責められるケースが多く見受けられます。また、成果を出しても、上司が正当に評価せず、担当者が退職してしまうケースも多々あります。
SEO対策に限らず、責任者(管理者・評価者)を配置しない企業施策が成果を生むケースは稀といえるでしょう。仮に、成果を生み出せたとしても、それはSEO担当者個人の力量に依存した成果であって、企業としての成果ではありません。
担当者だけでなく責任者も置かなければインハウスSEOの継続的な成果は望めません。
インハウスSEOのメリット・デメリット
本章では、インハウスSEOのメリットとデメリットを解説します。
全てのビジネス施策同様、メリットだけでなく、デメリットもしっかりと理解したうえで、インハウスSEOを導入しましょう。
インハウスSEOのメリット
インハウスSEOの主なメリットは以下の3つです。
インハウスSEOのメリット
① 外注コストの削減に繋がる
② SEOのノウハウが社内に蓄積される
③ スピーディーに対応できる
以下に一つずつ解説します。
① 外注コストの削減に繋がる
インハウスSEOの1つ目のメリットは「外注コストの削減に繋がる」ことです。
SEO対策の外注コストの相場は以下になります。
・SEOコンサルティング・・・月額10~50万円
・SEO対策を施したコンテンツ制作・・月額10~50万円(コンサルティング費用は別途)
(大規模サイトの場合、外注コストは月額100万円を越える)
自社だけでSEO対策を行うインハウスSEOでは外注コストは発生しません。
社員にはもともと人件費がかかっていますので、インハウスSEOのコストは0円ではありません。
給与の高い社員にSEO対策を担当させるより、SEO会社やSEOコンサルタントに外注したほうが、トータルコストは抑えられる場合もあります。
とはいえ、ほとんどの企業では、SEO対策の全てまたは一部を内製化したほうが、トータルコストを抑えることができます。
② SEOのノウハウが社内に蓄積される
インハウスSEOの2つ目のメリットは「社内にSEOのノウハウが蓄積する」ことです。
SEO対策をSEO会社やSEOコンサルタントに全面的に依存にしていては、SEOのノウハウは社内に溜まりません。社内の人材は育たず、外注先への依存度も益々高くなってしまいます。
SEO対策はマーケティング施策の一つです。
インハウスSEOを全く導入しないということは「社内にマーケティング人材が全く育たない」「社内にマーケティングノウハウが全く溜まらない」という結果を招いてしまいます。
③ スピーディーな対応が可能
インハウスSEOの3つ目のメリットは「スピーディな対応が可能になる」ことです。
SEO対策を外注業者に任せ切りだと、ウェブサイトの改善に時間がかかってしまいます。
たとえば以下のように数週間から1ヶ月程度の期間がかかります。
■ 期間がかかる具体例
①問題点がわからない
↓
②外注業者に問題点を指摘される
↓
③外注業者と打合せ(アポから実施まで約1週間)
↓
④社内検討(約1週間)
↓
⑤社内上申(決裁まで約1週間)~ 外注業者に対応依頼
↓
⑥外注業者が実務対応(着手~納品まで約1週間)
このように、外注先とのコミュニケーションには、かなりの日数を要します。その結果、ウェブサイトの改善は遅れてしまいます。紙媒体と違って、改善をすばやく反映できるWEBコンテンツのメリットが活かせず、商機を逸する場合も出てくるでしょう。
外注先との打合せが不要なインハウスSEOならば、よりスピーディーにSEO対策を実施でき、効果もすぐに検証できます。
インハウスSEOのデメリット
インハウスSEOのデメリットは以下の4つです。
インハウスSEOのデメリット
① 社内の理解が必要
② 専任者の配置が必要
③ 成果が出るまで時間がかかる
④ SEOの最新情報の把握が難しい
デメリット① 社内の理解が必要
インハウスSEOの1つ目のデメリットは「社内の理解を得る必要がある」ことです。
インハウスSEOの導入前にSEO対策の概要やメリットを経営陣に理解させる必要があります。
たとえば以下の内容です。
・そもそもSEO対策とは?
・SEO対策にはどんなタスクがあるか?(業務量=リソース配分)
・SEO対策にはどんな効果があるか?
・SEO対策に取り組まないと、どうなるか?
・SEOのスキルは短期間で習得できない → 専任者を配置する必要がある →(専任者がスキルを習得しても)SEO対策の効果はすぐには現れない。
ほとんどの企業では、これらを経営陣を納得させるのは困難です。
今はSEOに関する知見がないのですから、無理もありません。
したがって、SEOコンサルタントと契約して、SEOコンサルタントから経営陣にプレゼンしてもらうことを推奨します。
デメリット② 専任者の配置が必要
インハウスSEOの2つ目のデメリットは「専任者の配置が必要になる」ことです。
SEO対策は多岐に渡ります。「ついで」や「片手間」の学習ではスキルを習得できません。
少なくと業務時間の7割~8割をSEOの勉強に充てる必要があります。
SEO対策の仕事に100%専念させても、スキルの習得だけで1~2年はかかります。そして、実際に成果が現れるのはさらに先です。(SEOコンサルタントに外注しても成果が出始めるのは数ヶ月~1年先)
もっと早期に成果を出したい場合は、SEO対策のスキルを有する人材を新規採用する必要があります。
しかし、SEOスキルを持つ人材の採用にもリスクと困難が伴います。
■ 他の職種同様の採用リスク
SEO人材に限らず、他の職種でも以下の採用リスクがあります。
・実績がある人はなかなか応募してこない
・実績がある人は応募してきても年俸が高い
・正社員として雇用すると簡単に解雇できない
■ SEO人材特有の採用の難しさ
SEO人材特有の採用の難しさについて以下に解説します。
たとえば、営業や経理の中途採用なら、貴社でも応募者のスキルを見極められるでしょう。それは貴社にも営業や経理のスペシャリストがいるからです。しかし、貴社にはSEOのスペシャリストはいないのです。ということは「素人が」応募者を評価することになるわけです。
応募者の前職(現職)がSEO会社であっても、成果や実力は自己申告が多く、NDAに縛られ、実績を開示できない場合がほとんどです。したがって実績で判断するのも困難です。
デメリット③ SEOの最新情報の把握が難しい
インハウスSEOの3つ目のデメリットは「SEOの最新情報の把握が難しい」ことです。
Googleの検索アルゴリズム(上位表示させるロジック)は頻繁に変化します。2023年は大きなアップデート(コアアルゴリズムアップデート ※)だけでも4回ありました。SEO対策では、常にGoogleの最新情報を把握し、実務に反映させる必要があるのです。
とはいえ、SEO対策専任者のスキルが向上するまでは、SEO対策の勉強やコンテンツ作成で精一杯でしょう。したがって、SEOの最新情報を把握する時間までは取れないことが大半です。
いっぽうで、SEOコンサルタントは、すでにスキルは身に付けていますので、SEOの学習に時間を割く必要はありません。そして、彼らはアルゴリズムの最新情報もしっかりと把握しています。
※ 2023年のコアアルゴリズムアップデート:3月、8月、10月、11月に計4回実施された。
以上で本章の解説を終わります。
インハウスSEOを定着させるステップ
本章では、インハウスSEOの「導入期」「運用期」「定着期」に実施すべきタスクについて解説します。
ステップ1)導入期
インハウスSEOの導入期とは「導入前(検討段階)3ヶ月間」「導入後1~3ヶ月間」を指します。
導入期には以下の作業を行います。
① 現状分析(自社サイトの課題を洗い出す)
② 目標設定(SEO対策の最終目的と中間指標を設定する)
③ 戦略立案(具体的なSEO戦略を立てる)
④ 社内折衝(戦略遂行に必要な予算を確保する)
⑤ 体制整備(専任者および管理者を配置する/役割分担の明確にする)
⑥ SEOの基礎学習(専任者だけでなく、管理者および経営陣も)
まず最初に、自社サイトの現状を把握し、課題を明確にします。
次に、SEO対策の最終的な目的を設定し、具体的なSEO戦略を立てます。
そして、予算を確保し、SEO対策を遂行するチームを編成し、役割分担を明確にします。
導入期でいちばん重要なのは、担当者だけでなく、管理者および経営陣もSEOの基礎を勉強することです。
以下が勉強すべき理由です。
・担当者・・・実務を遂行するために勉強する
・管理者(上長)・・・SEO専任者を公正に評価するために勉強する
・経営陣・・・正しい経営判断をするために勉強する
担当者だけでなく、管理者も、経営陣も、SEOを学習することが、インハウスSEOを成功させる第一歩になります。
ステップ2)運用期(学習・実践期)
導入期が過ぎると、運用期に入ります。一般的にインハウスSEOの導入後1~2年間が運用期にあたります。
SEO業界では「運用期」と呼んでいますが、SEOに関する知見が全くなかった企業がSEOを始めるのですから「学習・実践期」と言うべきと筆者は考えます。
運用期に入ってからも、以下のSEO実務を実践しつつ、SEOの学習を継続し、スキルアップを図ります。(インプットとアウトプット)
① キーワード選定~コンテンツ制作(リライト含む)
② 内部対策(コンテンツの改善)
③ 外部対策(主に被リンクを増やす施策)
ステップ3)定着期
SEO対策が実務で使えるスキルとして身に付き、実施したSEO対策の成果を、自社のみで分析・改善できるようになれば、インハウスSEOは定着期に入ったといえるでしょう。
多くの企業では、インハウスSEOが定着期に入るの導入から2~3年後です。
インハウスSEOにおける目標設定と社内折衝
本章では、インハウスSEOの導入期に実施する目標設定と社内折衝について解説します。
目標設定(KGI・KPI設定)と目標の社内公開
インハウスSEOの導入時には必ず「明確な目標数値と達成期限(KGIおよびKPI)」を設定しましょう。
そして、設定したKGI・KPIを全社に公開して、事業部門の理解・協力を得るのが理想的です。
KGI・KPIの設定
はじめに、中長期の戦略目標数値(KGI)を設定し、次に、中長期目標を達成するための、短期の戦術目標数値(KPI)を設定します。
多くの企業では、SEO対策の目的は売上・利益を伸ばすことです。
この売上額・利益額という「明確な目標数値」がKGI(Key Goal Indicator「重要目標達成指標」)になります。
「検索順位を上げる」「PVを伸ばす」「問合せ件数を増やす」、これらはKGIを達成するために必須の過程(プロセス)です。
これら各プロセスの「明確な目標数値」が、KPI(Key Performance Indicator「重要業績評価指標」)になります。
KGI・KGIの社内合意および社内公開
設定したKGI・KPIの内容は、会議の場で経営陣に説明し、合意を得ましょう。(議事録は必ず残す)
さらには、社内掲示板などで全社員に公開するのが理想的です。
経営陣向けの説明会は必須です。目的は、SEOのメリットや課題を、役員に理解させて協力を得るためです。また、リスクヘッジのためでもあります。
「短期で成果が出ると思っていた」「期待した効果とかけ離れている」「人手や予算は不要だと思っていた」などと、後になって言い出す役員が多いのが現実だからです。
このような「誤認識による後からの苦言の芽」を事前に摘み取っておくことも、経営陣向け説明会を実施する重要な目的です。
KGI・KPIを全社員に公開する目的も、各事業部の理解と協力を得るためです。
SEO対策は各事業部門の業績をアップさせるためのマーケティング施策であり、SEO担当者は各事業部の営業マン・広報マンであることを認識させましょう。
このように、KGI・KGIを経営陣および全社員に公開することで、理解と協力を得られやすくなります。
予算を確保するための社内折衝
目標設定の次に行うのは、予算確保のための社内折衝です。
SEO対策を行うには「有料SEOツールの利用料金」「コンテンツの制作・改修費用」の予算の確保が必要です。
SEO対策にはSEOツールが必須で、有料のSEOツールの利用料金は自社の負担になります。(SEOツールについては次章で解説)
コンテンツの制作・改修には、主に以下のコストが発生します。
・外注ライターの執筆料
・有料素材(画像・イラスト)の使用料
・撮影費用(プロカメラマンへの報酬)
・オリジナル図解の作成費用
・監修費用(専門家による内容チェック費用)
SEO対策を外注する場合は、これらの費用がコンサルティング料に入っている場合もありますが、インハウスSEOでは全て自社の負担になります。これらの費用の予算確保が必要です。
「有料SEOツールの利用料金」も「コンテンツの制作・改修費用」も、予算を確保するには費用対効果を示して、経営陣を納得させなければなりません。この社内折衝の際は、前述のKGI・KGIも併せて説明が必要です。
以上で本章の解説を終わり、次章ではインハウスSEOに必要なSEOツールについて解説します。
インハウスSEOに必要なSEOツール
SEO対策にはさまざまなSEOツールが必要です。以下が代表的なツールです。
■ 無料ツール
Googleキーワードプランナー
ラッコキーワード(詳細機能は有料)
Googleサーチコンソール
Googleアナリティクス
■ 有料ツール
Ubersuggest(ウーバーサジェスト)
Ahrefs(エイチレフス)
以下に各ツールで「わかること / できること」を簡単に解説します。
【無料】Googleキーワードプランナー(Google広告)
Googleキーワードプランナーはキーワードリサーチツールです。検索窓に、調べたいキーワードを入力すると、主に以下の項目がわかります。
・検索ボリューム
・競合性
・広告入札単価
【無料】ラッコキーワード(有料機能もあります)
ラッコキーワードは、ラッコ株式会社が提供するキーワードリサーチツールです。主に以下の項目をリサーチできます。
・サジェストキーワード
・共起語
・検索上位20記事のタイトル・見出し・文字数
【無料】Googleサーチコンソール(通称「サチコ」)
Googleサーチコンソール(Google Search Console)は自社サイトのパフォーマンス分析ツールです。主に以下の項目を分析できます。(他社サイトのパフォーマンス分析はできません)
・検索順位
・表示回数
・クリック数(PV)
・クリック率(CTR)
・検索クエリ(キーワード)
【無料】Googleアナリティクス(通称「GA4」)
Googleアナリティクス(Google Analytics)はウェブサイトのアクセス解析ツールです。
他社サイトのアクセス解析はできません。
Googleアナリティクスでは、主に以下の項目がわかります。
・ユーザーのリアルタイムの利用状況
・ユーザーの基本属性
・ユーザーの流入経路
・ユーザーの回遊状況
【有料】Ubersuggest(ウーバーサジェスト)(2024年2月時点の情報)
Ubersuggestは、NEILPATEL社(アメリカ)が提供するSEOツールです。
自社サイトだけでなく、競合サイトの分析が可能です。
主に以下の項目をリサーチできます。
・検索ボリューム
・SEO難易度
・広告クリック単価
・被リンク数、被リンク元
・ドメインパワー
・SNSでのシェア数(FacebookとPinterestのみ)
Ubersuggestは無料でも利用できますが、1日の利用回数に上限があります。たとえば検索ボリュームのリサーチは1日3回までです。
Ubersuggest有料版は月額2,999円(税込)~です。プランは3つあり、どのプランも使える機能は同じですが、月額料金が上がると、機能の利用回数上限が増えます。(2024年2月時点の情報)
Ubersuggestの公式サイトを見たい方はコチラをクリック
【有料】Ahrefs(エイチレフス)(2024年2月時点の情報)
Ahrefs(エイチレフス)はシンガポールに本社を置くAhrefs社(Ahrefs Pte.Ltd)が提供するSEO分析ツールです。
Ubersuggest同様、自社サイトだけでなく、競合サイトの分析が可能です。
・対象キーワードの検索ボリューム
・対象キーワードの難易度
・有料広告出稿情報
・被リンク数、被リンク元
・発リンク
・ドメイン評価 (DR) / URL評価 (UR)
・SNSでのシェア数(XとPinterestのみ)
Ahrefs(エイチレフス)に無料版はありません。プランは下記4つです。(2024年2月時点の情報)
Ahrefs(エイチレフス)の公式サイトを見たい方はコチラをクリック
無料のSEOツールでは、自社サイトしか分析できません。必ず有料SEOツールを導入して競合サイトを分析しましょう。前章で解説したように、社内折衝で、有料ツールの予算を確保する必要があります。また、KPIをチェックする際も、自社および競合のデータは必須です。
以上で本章の解説を終わります。次は最後のまとめの章になります。
インハウスSEOを成功させるためのポイント
これで最後の章になります。インハウスSEO(SEO対策の内製化)を成功させるために、筆者が特に重要と考える以下3点について解説します。
① 中長期の施策だと認識する(成果が出るのは1~3年後)
② 3ヶ月~半年は外部コンサルタントの力を借りる
③ 運用期・定着期も外注を活用する(セミインハウスSEO)
① 中長期の施策だと認識する(成果が出るのは1~3年後)
1点目は「インハウスSEOは成果が出るまでに1~3年かかる中長期施策である」と、経営陣や管理職が、確実に認識することです。
そもそも、SEO対策の効果は短期(半年以内)では得られません。効果が現れる始めるのは、SEO対策を始めて半年から1年先です。この期間は、SEO会社やSEOコンサルタントに外注した場合も変わりません。
たとえ、外注業者からコンサルティングを受けても、SEO対策の成果が実際に出始めるのは半年~1年後、大きな成果を得られるのは2~3年後です。SEO対策は、短期では成果を得られない中長期のマーケティング施策なのです。
インハウスSEOではSEO未経験者の「勉強期間」も必要です。勉強中でスキルとして身に付いていない時期には効果は出せません。SEOの「知識を習得し」「知識をスキルとして使えるようになる」には、目安として、以下が必要です。
・基礎知識を習得する ← 1~2ヶ月
・網羅的、体系的に理解する ← 半年~1年
・知っているだけでなく、スキルとして使えるようになる ← 2~3年
「SEO対策は簡単だ」「SEO対策は短期施策だ」という先入観を持ち、その先入観を拭えない企業は必ず失敗します。半年~1年という短期間で判断せず、2~3年は継続しましょう。
② 3ヶ月~半年は外部コンサルタントの力を借りる
2点目は、インハウスSEOの検討段階、および、インハウスSEO導入後3ヶ月~半年間は、SEO会社やSEOコンサルタントなど「プロの力」を借りることです。理由は以下の3つです。
1) 成果が早く現れるから(最初から自社のみで実施する場合に比べて半年~1年早まる)
2) 担当者のスキルの習得が早まるから
3) 担当者の意欲の低下・退職を防止するため
未経験者よりプロがSEO対策したほうが、成果が早く現れるのは当前です。
しかし、SEOコンサルタントの力を借りるメリットは「SEO担当者の意欲の低下や退職を防げること」だと筆者は考えます。
筆者がコンサルティングした中小企業は、1社残らず、SEO対策の専任者は1名しか置けていません(中小企業といっても、ほとんどは社員数数百名の企業です)。
また、SEO関連のセミナーで意見交換すると「社内でSEOやってるのは私だけなんです・・」「相談できる人は一人もいません・・」とおっしゃる方が大半なのが実情です。
これでは、SEO専任者が孤独になってしまうのは無理もありません。
SEO専任者は社内評価が低く、離職率が高い傾向にあります。
SEO対策は中長期施策であり、成果が出るのは早くても1年以上先です。
そのため、会社や上司からの評価が低かったり、減給、降格対象になってしまうケースが見受けられます。
しかも、その評価を下す上司はSEOの「素人」。SEO担当者は、何もわかっていない(学ぼうともしない)上司に低評価され、減給される、というわけです。
これでは意欲が低下するどころか、退職してしまうのも当然といえます。
インハウスSEOの検討段階、および、インハウスSEO導入後3ヶ月~半年間は、SEOコンサルタントの力を借りましょう。
そして、SEOの素人である経営陣や管理職も、SEOの基礎をしっかりと理解しましょう。
③ 運用期・定着期も外注を活用する(セミインハウスSEO)
3点目は、外注を有効活用することです。完全なインハウスSEOではなく、SEO対策の一部を外注する「セミインハウスSEO」の形態を筆者は推奨します。SEO対策では主に以下の実務が発生します。
セミインハウスSEOでは、これらの実務の一部を外注します。
■ 一部を外注する具体例
・サイト設計(企画)と記事添削(コンサルティング) → SEOコンサルタントに外注
・データ分析とコンサルティング → SEO会社に外注
・記事執筆 → 外部のWEBライターに外注
・SNS運用とリスティング広告運用 → WEBマーケテイング会社に外注
SEO対策は多岐に渡るため、初心者は知識やスキルの習得だけでも、かなりの期間と労力を要します。SEO専任者を一人しか配置できない企業では、SEO専任者の精神面・健康面の負担が大きいし、実務の一部をアウトソースしたほうが人件費を抑制できる場合もあります。
以上のとおり、インハウスSEOを成功させるには、全てを内製化するのではなく、外注も有効活用することが3つ目のポイントです。
本記事の内容は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
SEO対策の悩みを抱えておられる企業担当者の方は、気軽にご相談ください。
JunTakeda
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